強迫性障害
症状
強迫思考、強迫行為が主な症状です。
強迫思考とは
- 常同的な形で繰り返し患者の心に浮かぶ観念、表象あるいは衝動
- 患者に苦悩をもたらすもの
- 患者はその思考に抵抗し打ち消そうとするが成功しない
- 本人の意思に反したものであるが、自分自身の思考であることが分かっているもの
とされています。
簡単に言いますと、自分でもバカバカしいと思う考えが意志に反して浮かんで、考えないようにしても自分の意志ではどうにもならない状態です。
強迫行為とは
- 何度も繰り返される常同行為
- 本来愉快なものではなく、役に立つ課題を達成するものでもない
- 自分にとって有害な出来事やあるいは実際に起こりそうもない出来事を避けるために、すなわち強迫思考を排除するために行われる行為
とされています。例えば、ガス栓を締めたかどうかが気になって(強迫思考)、台所へ何回も立ち戻っては確認する(強迫行為)や戸締りを忘れたのではないかと気になって(強迫思考)、自宅まで戻って確かめないと気が済まない(強迫行為)などです。
強迫思考には、健常者もときに体験するような内容のものから、かなり奇異な内容のものまであります。
例えば、人前でわいせつな言葉を発しないか、いきなり相手を殴ったりしないか、自分が電車に飛び込みはしないかなどというものがあります。
また、強迫行為には電柱・敷石・窓など目についたものを数えないと気が済まない、なんでも理由が気になり理由を確かめないと気が済まない、歩行中に直角に曲がれないとまたやり直すなどの行為もあります。
こうした強迫症状のために患者さんは悩み、仕事や学業など生活が支障されているという特徴があります。
治療、予後
子どもの頃、思春期の頃、そして20代の早い時期に生じた強迫は、1年以内に自然になくなることもあります。
治療としては薬物療法と認知行動療法があります。
薬物療法としてはSSRIという抗うつ薬を処方することが多く、即効性はありませんが、効き始めると長く効果が期待できます。
認知行動療法としては暴露反応妨害法が多く用いられます。
これは不安を感じる場面にわざと自分を曝し(わざと汚いと思うものに触るなど)、そこで生活を妨害している行動を行わず(手を洗うことを我慢するなど)、それまで行っていた習慣的行動をしなくても安全であることを体験し、反復して訓練する方法です。
さいごに
当院は「患者さんの一助となれるようしっかりと丁寧に話を聞き、患者さまやご家族さまの目線に立って解決方法を一緒に考えられる、安心を提供できるクリニックでありたい」との理念を掲げております。
強迫性障害は認知行動療法や適切なお薬で改善することがありますので、お気軽にご相談ください。