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更年期障害(climacteric syndrome)

[2023.09.19]

更年期にからだの不調を感じられる方は沢山おられると思います。当院では丁寧にお話を聞く中で患者様と一緒に解決方法を考えていきます。お薬以外の治療方法もありますし、十分な説明をした上で患者様が希望された場合にはお薬を処方することもあります。
今回は『更年期障害』に関してまとめてみました。
分からないことやお聞きになりたいことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
皆さまの健康へのお手伝いが出来るよう、丁寧な診察を心掛けてまいります。

◎更年期障害

①概要

月経が来ない状態が12か月以上続いた時に、1年前を振り返って閉経としています。日本人の平均閉経年齢は約50歳ですが、個人差が大きく、早い人では40歳前半、遅い人では50歳後半に閉経を迎えます。更年期とは閉経前後の10年間を指し、おおよそ45歳から55歳の期間になります。
更年期に現れるさまざまな症状の中で他の病気に伴わないものを更年期症状といい、その中でも症状が重く日常生活に支障を来す状態を更年期障害と言います

②診断基準・機序

明確な診断基準は存在しないため、更年期障害を診断するためには器質疾患や精神疾患を除外する必要があります。
更年期障害の発生機序はいまだ明らかになっていませんが、内因性エストロゲンが変動しながら急激に低下すること、更年期の女性に降りかかる心理社会的要因も自律神経中枢に影響を及ぼすのではと考えられています。

③症状

更年期障害の症状は大きく3種類に分けられます。

◇血管の拡張と放熱に関係する症状

ほてり、のぼせ、ホットフラッシュ、発汗など

◇その他のさまざまな身体症状

めまい、動悸、胸が締め付けられるような感じ、頭痛、肩こり、腰や背中の痛み、関節の痛み、冷え、しびれ、疲れやすさなど
また、食べ物の嗜好が変わったり、新たに食物アレルギーが出現したりすることがあります。

◇精神症状

気分の落ち込み、意欲の低下、イライラ、情緒不安定、不眠など
また、孤独感を抱く一方で、他人が煩わしく、誰にも干渉されずに一人になりたいと思うなど、相矛盾した気持ちを抱え、情緒は不安定に揺れ動きます。現在の生活に対してうんざりしたり、出口がないように感じたりします。
これらの症状は不安症やうつ病などの精神疾患の診断基準を満たすほどではありませんが、更年期女性の生活の質を低下させます。

更年期障害の特徴の一つは症状が多彩なことですが、これらが他の病気による症状ではないことを確認する必要があります。

④治療

・薬物療法

日本産婦人科学会のガイドラインでは、ホットフラッシュや動悸などの血管運動神経様障害が認められる場合にはホルモン補充療法(hormone replacement therapy:HRT)を、精神症状が前景にある場合には選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitor:SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(serotonin norarenarin reuptake inhibitor:SNRI )などの抗うつ薬を、不定愁訴が多い場合には当帰芍薬散・加味逍遥散・桂枝茯苓丸などの漢方薬をそれぞれ推奨しています。

・生活指導

今までの生活習慣を見直し、質の良い睡眠や偏りのない食事などについてセルフモニタリングするよう勧めます。また、外出に億劫になっている場合には適度な運動を生活習慣に取り入れるよう促します。

・精神療法

ストレス軽減が期待できるマインドフルネス、ホットフラッシュなどの症状の軽減を目的とした認知行動療法、あるいは、揺れ動く情緒や反芻してしまう辛い空想などについて整理し自己理解を深めることを目標にした精神分析精神療法などがあります。

the journal of the japan medical association
Japan Society of Obstetrics and Gynecology

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