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躁うつ病(双極性障害)

躁病エピソードの診断基準

A.高揚した、開放的な、または怒りっぽい気分が、異常かつ持続的な期間が、少なくとも1週間継続する
B.Aの気分の障害が存在する期間中、以下の項目の3個以上が持続し、しかも顕著である

  1. 自尊心が過度で、誇大的な考え方になる
  2. 睡眠に対する欲求が減る(3時間程度しか眠らなくても十分と感じる)
  3. 普段より多弁で、次々話したいという気持ちが強い
  4. 考えが次々と頭に浮かぶ
  5. 注意がそれやすい(重要性の低い、関連性のない事柄へ容易に注意が向く)
  6. 目的指向性のある活動(社会的、職場や学校内、性的活動のいずれか)が高まるか、精神運動性の焦燥が生じる
  7. 後で困ったことになる可能性が高いのに、つい自分が楽しいこと(買い物への浪費、性的無分別、馬鹿げた事業への投資など)に熱中する

上記が躁病エピソードの診断基準となっています。
各項目について下記に詳しく記述します。

過度の自尊心あるいは誇大的思考

自己評価が高まり、思考も誇大的な考え方につながります。
その結果、自己の能力を過信し、実現不可能な計画を立てるようになります。
自分は神と関係があるといった誇大妄想をみとめることがあります。

睡眠に対する欲求が減る

睡眠時間が短すぎるのではないかと思えるような状態であっても、すっきりした気分で目覚め、患者さんは睡眠が不足しているとは感じません。

普段より多弁で、話したい気持ちが強い

話したい気持ちが次々と生じ、声も大きく、早口で、周囲が口を差しはさむのも難しいくらいです。
内容も駄洒落や悪ふざけと思われるような場合が多いです。

考えが次々と浮かぶ

考えが次々と浮かぶ結果、多弁となります。
話す内容も次々に変化し、関連性が乏しい話題に移っていきます。
このような状態を観念奔逸といいます。

注意の散漫

簡単に注意がそれてしまい、相手の服装が気になり話題に集中できないといったことが起こります。

目的指向性のある活動が高まる、あるいは精神運動性の焦燥

対人面を中心として、性的、職業的、宗教的、政治的な目的をもった計画や行動が増加します。
足踏みを頻回にする、手をよじるなどの精神運動性焦燥といった状態を呈することがあります。

困った結果を引き起こす可能性が高いにも関わらず、自らの楽しみに熱中する

開放的で、計画性が乏しく、誇大的な気分になり、浪費、粗暴な運転、性的逸脱行為などへの無分別な熱中につながります。

これらの症状によって、患者さんの本来持っている社会的機能(職業や学業面など)に支障が出てしまいます。
うつ状態の症状に関してはうつ病の回をご覧ください。

治療

患者さんが病気とその治療に関して十分に理解されるほど治療の効果が高まるとされています。
まずは、躁うつ病がどのような病気でどのような治療があるのかをきちんと説明させていただきます。

薬物療法としては、気分安定薬の服用が基本となります。
炭酸リチウム、カルバマゼピン、パルプロ酸ナトリウムなどの気分安定薬には抗躁効果、抗うつ効果に加えて躁・うつ病相の予防効果があります。
急性期の激しい躁症状に対しては気分安定薬だけでは不十分なことがあり、抗精神病薬を併用することがあります。

さいごに

当院は「患者さんの一助となれるようしっかりと丁寧に話を聞き、患者さまやご家族さまの目線に立って解決方法を一緒に考えられる、安心を提供できるクリニックでありたい」との理念を掲げております。

躁うつ病は躁状態とうつ状態を周期的に繰り返し、社会生活に支障をきたす病気です。
躁状態では気分が高揚したり、眠らなくても平気に感じたりします。
うつ状態では気分が落ち込み、何をしても楽しめない、眠れない、食欲がないなどの症状がみられます。
うつ病とは治療方法が異なります。十分な休養や適切なお薬で改善することがありますので、お気軽にご相談ください。

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