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大人の発達障害

[2024.03.13]

『大人の発達障害について』

ミスが多い、忘れ物をよくする、時間が守れない、新しいことを覚えるのが苦手など、日常生活や仕事において生き辛さを感じ、当院を受診していただく方が沢山おられますので、皆様の一助となれるよう『大人の発達障害』について記したいと思います。

 

  • 大人の発達障害とは

 まず、発達障害とは生来のものであり、成長の過程で発症するものではなく、幼少期より特徴的な特性を認めることがあります。乳幼児期の検診や幼稚園・保育園の先生から指摘を受けて受診につながることもあります。

 以前は現在ほど発達障害に関して注目されることはなく、周囲と少し違う子供として受診にはつながらない方も多くおられました。また、環境に恵まれていたり、サポートが多く得られたことで幼少期は大きな問題なく成長される方もおられます。

 しかし、就職や結婚を機に、複数のことを同時にこなしたり、期限内に順位をつけてタスクをこなしたり、相手のことを考慮して生活をするなど、発達障害の特性を持つ方が苦手とする場面が増え、ストレスや生き辛さを感じることが多くなります。中には仕事が続かずに転職を繰り返したり、パートナーと上手くいかずにどちらかが疲弊してしまうこともあります。

 昨今はインターネットやSNSなどで発達障害について多く発信されており、ご自身やパートナーが大人の発達障害ではないか、生き辛さの原因が発達障害にあるのではないかと考えられ、多くの方に来院いただいています。

 

  • 大人の発達障害の特徴

 発達障害には大きく分けて、ADHD(注意欠如・多動症)とASD(自閉スペクトラム症)があり、それぞれ特徴的な特性があります。

◎不注意

忘れ物が多い、物をよくなくす、同じミスが多い、集中力が続かない、話しかけられていても聞いていないように見える、作業の段取りが苦手、気が散りやすい、そわそわして落ち着かない、運転時にスピードを出しすぎる、事故が多い、計画的に物事を進められない、他のことを考えてしまう、電話の折り返しを忘れる、感情のコントロールが難しい、転職を繰り返す

 

◎多動性・衝動性

落ち着きがない、衝動買いが多い、思いつきの行動が多い、しゃべりすぎる、座っていても手足をよく動かす、順番を待つことが難しい、他人の会話に割り込む

 

◎コミュニケーション障害・こだわりの強さ・感覚過敏

大人数での会話や世間話が苦手、場の空気を乱してしまう言動がある、空気を読めないと指摘されたことがある、他人の気持ちを理解できないことがある、予定が変わると混乱する、こだわりが強く融通がきかない、光・音・匂いに敏感である

 

◎二次障害

発達障害の特性を持つ方は日常生活や仕事において上手くいかずにストレスを感じることが多く、そのストレスが持続することで二次的に障害を引き起こします。

気分が落ち込む、憂鬱な気分が続く

意欲が出ない、何をするにも億劫に感じる

以前は楽しかったことが楽しめない

寝つくのに時間がかかる

途中で何度も起きてしまう

目覚ましよりも早く起きてしまう

食欲がない、または食べ過ぎてしまう

不安になる

動悸や息苦しさを感じる

些細なことにイライラする、怒りっぽくなる

 

  • 診断基準

◇ADHDの診断基準

1.「不注意(活動に集中できない・気が散りやすい・物をなくしやすい・順序だてて活動に取り組めないなど)」と「多動-衝動性(じっとしていられない・静かに遊べない・待つことが苦手で他人のじゃまをしてしまうなど)」が同程度の年齢の発達水準に比べてより頻繁に強く認められること

2.症状のいくつかが12歳以前より認められること

3.2つ以上の状況において(家庭、学校、職場、その他の活動中など)障害となっていること

4.発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が障害されていること

5.その症状が、統合失調症、または他の精神病性障害の経過中に起こるものではなく、他の精神疾患ではうまく説明されないこと

 

◇ASDの診断基準

A:社会的コミュニケーションおよび相互関係における持続的障害

1.社会的・情緒的な相互関係の障害

2.他者との交流に用いられる非言語的コミュニケーションの障害

3.年齢相応の対人関係性の発達や維持の障害

B:限定された反復する様式の行動、興味、活動

1.常同的で反復的な運動動作や物体の使用、あるいは話し方

2.同一性へのこだわり、日常動作への融通の効かない執着、言語・非言語上の儀式的な行動パターン

3.集中度・焦点づけが異常に強くて限定的であり、固定された興味がある

4.感覚入力に対する敏感性あるいは鈍感性、あるいは感覚に関する環境に対する普通以上の関心

C:症状は発達早期の段階で必ず出現するが、後になって明らかになるものもある。

D:症状は社会や職業その他の重要な機能に重大な障害を引き起こしている。

 

  • さいごに

 皆様が悩まれている症状や生き辛さは発達障害の特性によるものの可能性があり、また、発達障害のストレスから生じる二次障害の可能性があります。

 丁寧にお話を聞く中で一緒に解決方法を考えていきたいと思います。お薬が奏功する特性もありますので、お気軽にご相談ください。

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