HSP(Highly Sensitive Person)
『HSP(Highly Sensitive Person)』
HSPについて様々な媒体で見聞きすることがあり、敏感さや疲れやすさに悩まれる方は沢山おられると思います。当院では丁寧にお話を聞く中で患者様と一緒に解決方法を考えていきます。
今回は『HSP(Highly Sensitive Person)』に関してまとめてみました。
分からないことやお聞きになりたいことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
皆さまの健康へのお手伝いが出来るよう、丁寧な診察を心掛けてまいります。
◎HSP(Highly Sensitive Person)
HSPとは1990年代にアメリカの心理学者アーロン博士によって提唱された、「非常に繊細な人」を意味する、人の気質を表す言葉です。アーロン博士によると全人口の5人に1人がHSPに該当するとされています。現代の情報化社会では様々な刺激を受けやすく、気疲れや生き辛さを多く感じるようになったこと、複数の著名人が自身もHSPであるとSNSなどで公表したこともあり、一般に広く知られるようになりました。
アーロン博士は下記の4つの特性をそれぞれの頭文字をとってDOSE(ダズ)と名付けています。
- Depth of Processing:処理の深さ(深く考えてから行動に至る)
物事を始めるまでに色々と考えて時間がかかる
お世辞を簡単に見抜いてしまう
一を聞いて十を知ることができる
世間話よりも生き方や哲学的なことに興味がある
- Overstimulation:過剰に刺激を受けやすい(刺激に敏感で疲れやすい)
大きな音や人混みが苦手で、些細なことに驚く
他人の些細な言葉に傷つき、忘れることができない
映画、本、音楽などの芸術作品に感動し泣くことがある
友人との時間やイベントの後にどっと疲れる
- Emotional response and empathy:感情の反応が強く、共感力が高い(他人の気持ちに振り回されやすい、共感しやすい)
他人の視線、表情、目線などに敏感で機嫌や考えていることが分かる
映画や本などの登場人物に感情移入し、号泣することがある
言葉を話せない幼児や動物の感情を察することができる
他人が怒られていると自分のことのように感じることがある
- Sensitivity to Subtleties:些細な刺激を察知する(あらゆる感覚が鋭い)
強い光や日光のまぶしさが苦手である
冷蔵庫や時計の音が気になることがある
近くにいる人の口臭やタバコの臭いで気分が悪くなることがある
カフェインや添加物に敏感に反応する
肌着のタグなどチクチクする素材が気になる
予感や直観力に優れている
HSPは現段階では充分に確立された病気の概念ではなく、人の気質を表す心理学的用語の一つですが、敏感さや疲れやすさは下記の疾患から生じている可能性もありますので、適切な診断・治療を受けることが望ましいです。
不安障害(不安神経症)
自閉スペクトラム症(ASD)
注意欠如・多動症(ADHD)
うつ病(うつ状態)など
自身の気質を理解し、適切な治療を受けることでお困りの症状が改善することがありますので、どうぞお気軽にご相談ください。