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抗うつ薬の分類とその特徴

[2024.03.06]

『抗うつ薬の分類とその特徴』

 

お薬の服用に関して不安を感じられる方は沢山おられると思います。当院では丁寧にお話を聞く中で患者様と一緒に解決方法を考えていきます。十分な説明をした上で患者様が希望された場合にはお薬を処方することもあります。

今回は『抗うつ薬の分類とその特徴』に関してまとめてみました。

分からないことやお聞きになりたいことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

皆さまの健康へのお手伝いが出来るよう、丁寧な診察を心掛けてまいります。

 

◎概要

うつ病治療に用いられる薬物は選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitor:SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(serotonin noradrenaline inhibitor:SNRI)といったいわゆる第二世代の抗うつ薬です。以前は三環系、四環系などの抗うつ薬が用いられていましたが、抗コリン作用などの副作用など安全性に問題があったため、有効性は同等で副作用の少ない第二世代に代わっています。うつ病における治療ガイドラインにおいても、推奨される第一選択薬は第二世代抗うつ薬です。

また、抗うつ薬はうつ病以外にもパニック障害、強迫性障害、社交不安障害、外傷後ストレス障害にも保険適応を有しています。これらの神経症性疾患に関しても抗うつ薬は第一選択薬となっていて、ベンゾジアゼピン系薬は転倒やせん妄のリスクが高いため、抗うつ薬を適切に用いることが必要となってきます。

また、薬剤によっては身体疾患に効果があるものもあり、例えばデュロキセチンは慢性腰痛症に適応をとっています。

 

◎抗うつ薬の薬理作用

うつ病は脳内のモノアミン神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリン、ドパミン)の不足によるものとされています。抗うつ薬はモノアミン量を増加させ、うつ病の症状を改善するというものです。

例えば、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitor:SSRI)はセロトニントランスポーターの阻害薬としてセロトニンの再取り込みを阻害します。

 

◎抗うつ薬の種類と適応

◇SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)

フルボキサミン 社交不安障害、強迫性障害

パロキセチン パニック障害、強迫性障害、社交不安障害、外傷後ストレス障害

セルトラリン パニック障害、外傷後ストレス障害

エスシタロプラム 社交不安障害

◇SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)

ミルナシプラン

デュロキセチン 糖尿病性神経障害、線維筋痛症、慢性腰痛症、変形性関節症

ベンラファキシン

◇NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)

ミルタザピン

◇S-RIM(セロトニン再取り込み阻害・セロトニン受容体調節薬)

ボルチオキセチン

◇三環系

イミプラミン 遺尿症

アミトリプチリン 夜尿症、末梢性神経障害性疼痛

ノルトリプチリン

クロミプラミン ナルコレプシーに伴う情動脱力発作、遺尿症

アモキサピン

◇四環系

マプロチリン

ミアンセリン

セチプチリン

◇その他

トラゾドン

 

◎抗うつ薬の副作用

・アクティベーション

投与開始時あるいは増量時に不安、焦燥、不眠、衝動性、易刺激性、敵意、攻撃性、パニック発作、アカシジア、軽躁などが出現することがあります。

・中止後症候群

抗うつ薬を4週間程度服用していた場合、突然服薬を中止あるいは減量したときに、ふらつき、めまい、頭痛、不安、悪心、嘔吐、不眠などの症状が生じることがありますので、医師の指示に従ってゆっくりと減量することが大切です。

・セロトニン症候群

抗うつ薬の服薬中に不安、焦燥、興奮、錯乱、発汗、下痢、発熱、高血圧、頻脈などが出現することがあり、その際は医師の指示で服用を中止します。

・心電図QT延長

エスシタロプラムや三環系抗うつ薬は、用量が増えるに従って心電図上のQT間隔を延長させることがあるため、注意が必要です。

Japanese Society of Mood Disorders

the journal of the japan medical association

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