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適応障害

[2024.04.04]

『適応障害について』

環境変化に伴いストレスを強く感じ、疲れやすい、不安になる、眠れない、気分が優れないなどの症状で悩み、当院を受診していただく方が沢山おられますので、皆様の一助となれるよう『適応障害』について記したいと思います。

 

  • 適応障害とは

適応障害とは、あるストレス要因に反応して、ストレスの発端から3か月以内にみられる情緒面や行動面の障害のことです。

人は様々なストレスを受けた際に、気分が落ち込んだり眠れなくなったりと、一時的に精神的症状が出ることがありますが、多くの場合はしばらくすると治まります。しかし、ストレスを強く感じたり長く感じたりすることで適切に対処することが難しくなり、身体的・精神的症状が生じることがあります。

一般人口の2~8%にみられ、男女比は1:2と女性に多いとされています。

 

  • 適応障害の原因

明確なストレス因は人によって様々ですが、転職、異動、昇進、人間関係、進学、結婚、出産、育児、病気、パワハラ、残業時間の増加などが契機になることがあります。

重大な生活上の変化、もしくはストレスの多い生活に順応しようとする時期に苦悩と情動障害が生じます。

ストレス因は個人ばかりでなく、それが属する集団やコミュニティを巻き込む場合もあります。

通常、ストレス因がなければそうした状態は発生しないとされていて、個人の素質が強く関与するのが特徴的です。

 

  • 適応障害の症状

社会的機能や活動を妨げるような主観的苦悩、情動障害が基本的です。

具体的には抑うつ気分、不安、心配、現状の中でやっていけないという感じ、日々の仕事が障害されるなどがあります。

不安が強く緊張が高まると、身体症状として動悸、息苦しさ、頭痛、眩暈などを認めることがあります。他にも不眠、食欲不振、倦怠感、疲労感、肩こり、腹痛、発汗などがみられることもあります。

自分が過激な行動や突発的暴力を起こしてしまいそうだと感じることがありますが、実際にそうなることは滅多にありません。

思春期では素行障害、小児では夜尿症や指しゃぶりなどの退行現象が症状の一環として現れます。

 

  • 適応障害の診断基準

DSM-5では下記の通りの診断基準が示されています。

A.はっきりと確認できるストレス因子に反応して、そのストレス因子の始まりから3ヵ月以内に情緒面または行動面の症状が出現

B.これらの症状や行動は臨床的に意味のあるもので、それは以下のうち1つまたは両方の証拠がある

(1)そのストレス因子に不釣り合いな程度や強度を持つ著しい苦痛

(2)社会的、職業的機能の著しい障害

C.ストレス関連性障害は他の精神疾患の基準を満たしていない、すでに精神疾患を患っている場合には、それが悪化した状態ではない

D.症状は、正常の死別反応を示すものではない

E.そのストレス因子またはその結果がひとたび終結すると、症状がその後さらに6ヵ月以上持続することはない

 

  • 適応障害の治療

まずは、ストレス因を早期に除去するための環境調整が必要となります。十分な休養が有効であることが多く、患者さんと相談の上で必要に応じて休職や配置転換のための診断書を発行します。

また、現在の問題と症状に焦点を当て協同的に解決方法を見出していく問題解決療法や、ストレス因に対する患者さん自身の受け止め方に介入する認知行動療法もあります。問題解決療法や認知行動療法は、ご自身が主体的に取り組む姿勢が大切とされています。

さらに、抑うつ気分、不安、不眠などが強い場合には抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬などを提案することがあります。

 

  • さいごに

当院は「患者さんの一助となれるようしっかりと丁寧に話を聞き、患者さまやご家族さまの目線に立って解決方法を一緒に考えられる、安心を提供できるクリニックでありたい」との理念を掲げております。

適応障害はストレスや環境変化が原因となってこころやからだの不調が生じ、社会生活に支障をきたす病気です。

仕事や家庭の環境変化が原因となり、心療内科や精神科の外来を受診される方は非常に多くなってきています。

放っておくとうつ状態がひどくなる場合もあります。

患者さんと相談の上、休職に必要な診断書を即日発行することもあります。

疲れやすい、不安になる、眠れない、気分が優れないなどの症状でお悩みの方はお気軽にご相談ください。

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