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自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder:ASD)

[2023.10.19]

コミュニケーションや対人関係に悩まれる方、またそのご家族は沢山おられると思います。当院では丁寧にお話を聞く中で患者様と一緒に解決方法を考えていきます。お薬以外の治療方法もありますし、十分な説明をした上で患者様が希望された場合にはお薬を処方することもあります。
今回は『自閉スペクトラム症(ASD)』に関してまとめてみました。
分からないことやお聞きになりたいことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
皆さまの健康へのお手伝いが出来るよう、丁寧な診察を心掛けてまいります。

自閉スペクトラム症(ASD)

① 概要

相互的対人関係とコミュニケーションの質的異常および限局された行動・興味のパターンを特徴とします。DSM-5という診断基準では神経発達症の一つに分類されています。
以前は特性が極端に目立つ典型的な症例のみが診断されていましたが、最近ではより非典型的な症例も含めたスペクトラムと捉えられるようになり、診断例が増えています。
我が国の大規模疫学調査では、5歳までに約3%、9歳までに約5%の子どもがASDと診断されています。

② 診断基準

A:社会的コミュニケーションおよび相互関係における持続的障害
  1. 社会的・情緒的な相互関係の障害
  2. 他者との交流に用いられる非言語的コミュニケーションの障害
  3. 年齢相応の対人関係性の発達や維持の障害
B:限定された反復する様式の行動、興味、活動
  1. 常同的で反復的な運動動作や物体の使用、あるいは話し方
  2. 同一性へのこだわり、日常動作への融通の効かない執着、言語・非言語上の儀式的な行動パターン
  3. 集中度・焦点づけが異常に強くて限定的であり、固定された興味がある
  4. 感覚入力に対する敏感性あるいは鈍感性、あるいは感覚に関する環境に対する普通以上の関心
C:症状は発達早期の段階で必ず出現するが、後になって明らかになるものもある。
D:症状は社会や職業その他の重要な機能に重大な障害を引き起こしている。

③ 臨床所見

社会的コミュニケーション及び対人関係の異常
コミュニケーション

言葉の出始めの時期に反響言語、独り言、抑揚に乏しい一本調子の話し方、人称の逆転などの特徴的な言語発達の異常に気づかれることがあります。雑談が苦手で、ジェスチャーや表情などの非言語的コミュニケーションも苦手です。

対人関係

孤立的な場合だけでなく、受動的な対人関係が主で相互的にならない場合や、積極的に人にかかわるが一方的という場合もあります。社会的場面において、他者への配慮ができない、状況判断が苦手、集団行動が好きではない、暗黙のルールを理解できない、他者にお構いなくマイペース、他者と共有できない独特の意味づけを持った言葉を用いる、比喩・冗談・皮肉が通じない、言葉を文字通りに受け止めてしまい文脈が理解できない、仲間関係を築けない、興味や楽しみを他者と共有できないなどの特徴がみられます。

行動・興味・活動の限局した常同的で反復的なパターン

特定の事柄やスケジュールなどへの強いこだわりや、特定の対象物の収集やそのことに関する膨大な知識の蓄積などがみられます。日常習慣の変更に強く抵抗する、予想外の事態が起こると混乱する、新しいことや状況の変化に対応できない、見通しが持てないと不安になる、応用ができない、自分なりの手順を守ろうとする、融通が利かない、予想通りにならないと混乱する、一番にこだわる、興味のあることは細かいことまで覚える、収集する、想像力を必要とする遊びをせず物を並べたりする遊びが好き、くるくる回る物が好き、などが様々な組み合わせでみられます。

その他の特徴

特定の感覚がひどく敏感であること、または鈍感であることがしばしばあります。聴覚が過敏で外出がままならない、触覚が過敏で特定の素材の服しか着られない、味覚が敏感で極端な偏食を示すなどのために、社会生活の支障が著しい場合もあります。

④治療

精神療法・支援

本人のスキル促進と環境調整が主となります。特に小児期は、家族や教師が本人の認知特性に対する理解が不十分なままに不適切なやり方でスキル促進を試みて、二次的な精神的変調を誘発してしまうことがあるため、適切な環境調整を行えるよう家族や教師への啓発を行うこともあります。環境調整としては、本人が理解しやすい用語と言い回し、理解しやすい道筋で情報を伝えることが必要となります。特定の感覚刺激に対して過敏さや鈍感さを認める場合にはその感覚入力が本人にとって苦痛とならないように調整を図ります。

薬物療法

ASDの社会性の障害やコミュニケーションの障害そのものを標的にした薬物療法は現時点では存在しません。しかし、ASDは二次的な障害として不安障害や気分障害の併存が多いために、併存障害を対象に薬物療法の適応になる場合があります。その際にはそれぞれの併存障害の薬物療法に準拠して行います。また、小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性に対して、リスペリドンとアリピプラゾールが保険適応を取得しています。

the journal of the japan medical association

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