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特定の恐怖症

[2023.08.16]

日常生活の中で不安を感じられる方は沢山おられると思います。
当院では丁寧にお話を聞く中で患者様と一緒に解決方法を考えていきます。
お薬以外の治療方法もありますし、十分な説明をした上で患者様が希望された場合にはお薬を処方することもあります。

今回は『特定の恐怖症』に関してまとめてみました。
分からないことやお聞きになりたいことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
皆さまの健康へのお手伝いが出来るよう、丁寧な診察を心掛けてまいります。

特定の恐怖症

① 概要

恐怖症とは、たいして危険でも脅威でもないはずの対象や状況によって、不釣り合いで打ち勝ち難いほどの強い恐怖に即時的に駆られ、患者さんはこの不合理性をある程度理解しつつも、曝露による不安反応としてパニック発作を起こしたり、その対象や状況を回避したりする病態とされています。
このなかの特定の恐怖症は、「特定かつ限定的状況または対象の存在、あるいは予期を契機に生じる著名な持続的恐怖」と定義されています。
このような恐怖する対象、あるいは刺激は通常は回避されている場合がほとんどですが、患者さんは強い恐怖を感じながら耐え忍んでいることも少なくなく、これにより日常や仕事などの社会生活に著しい支障をきたしています。

② 分類・疫学

特定の恐怖症は下記の5つのタイプに分けられます。

動物型

犬、クモ、ヘビ、ゴキブリなどの動物または虫がきっかけとなります。

自然環境型

嵐、雷、高所、水など自然環境がきっかけとなります。

血液・注射・外傷型

血液や外傷を見たり、注射やほかの侵襲的な医学的処置を受けたりすることがきっかけとなります。
血管運動性失神反応が特徴的で、患者さんの約7割が採血などへの曝露後、短時間は心拍や血圧が上昇し、次いで脈拍が遅くなり血圧低下をきたし失神したという経験をもつとされます。
歯科治療への恐怖も多くみられます。

状況型

公共の輸送機関、トンネル、橋、エレベーター、飛行、自動車運転、閉ざされた場所などの特定の状況がきっかけとなります。

その他の型

窒息、嘔吐、疾病恐怖(病気にかかるかもしれない状況に対する恐怖)、空間恐怖(壁または物理的支持物から離れると倒れるのではと恐れる)、大きい音、仮装した人への恐怖などがあります。

一般人口の中で最も有病率の高い精神疾患のひとつであり、約4~8%とされています。
男女比は1:2と女性により高率で、動物型や状況型、自然環境型などでは女性が約70%を占めます。
一方、男性では高所恐怖が多いです。

③ 治療

曝露療法

恐怖刺激への曝露は通常は想像を介して行われます。
曝露時には不安や恐怖に対する拮抗反応としてリラクゼーション技法を組み合わせます。
このなかの筋弛緩法では、全身の力の抜き方の習得を目指します。
まずはしっかりと力を入れ、その状態からフッと力を抜くようにします。
深いリラクゼーションが得られるまで筋肉を弛緩させられるようあらかじめ練習しておき、曝露時にこれを用いて不安制御を実践します。恐怖刺激をリストアップし、最も怖く感じる場面を100として数値化して不安階層表を作成し、恐怖の低い項目から段階的に曝露していくことが多いです。
また、現実に患者さんを恐怖対象に曝露する方法もあり、想像による曝露よりも効果が高いとされています。

薬物療法

耐えがたい恐怖や不安に対して抗不安薬を処方することもあります。

④ さいごに

当院は「患者さんの一助となれるようしっかりと丁寧に話を聞き、患者さまやご家族さまの目線に立って解決方法を一緒に考えられる、安心を提供できるクリニックでありたい」との理念を掲げております。
患者さんの心の負担のない範疇でしっかりと話をお聞きし、穏やかに過ごせるようお手伝いすることが出来ます。どうぞお気軽にご相談ください。

1)modern clinical psychiatry 12th edition
2)psychiatry expert anxiety disorder

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