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心的外傷後ストレス障害(PTSD)

[2023.08.16]

日常生活の中で不安を感じられる方は沢山おられると思います。
当院では丁寧にお話を聞く中で患者様と一緒に解決方法を考えていきます。
お薬以外の治療方法もありますし、十分な説明をした上で患者様が希望された場合にはお薬を処方することもあります。

今回は『心的外傷後ストレス障害(PTSD)』に関してまとめてみました。
分からないことやお聞きになりたいことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
皆さまの健康へのお手伝いが出来るよう、丁寧な診察を心掛けてまいります。

心的外傷後ストレス障害(posttraumatic stress disorder:PTSD)

① 概要

生命や身体に脅威を及ぼし、強い恐怖感や無力感を伴い、精神的衝動を与えるトラウマ(心的外傷)体験(災害、性暴力、重度事故、戦闘、虐待など)を原因として生じる、特徴的なストレス症候群です。
トラウマという言葉を日常でもよく見聞きし、例えば、「失恋や仕事上の失敗がトラウマになって」などといった使い方をされることがあります。
しかし、本来のトラウマとは、命や身体に脅威が及び、強い恐怖心や無力感を伴う出来事に遭遇し、何か月も経つのにその記憶を何度も思い出したり、苦しみ続けたりする心の傷(心的外傷)のことをいいます。

② 症状

再体験症状

外傷的出来事に関する不快で苦痛な記憶がフラッシュバックしたり、夢の形で繰り返しよみがえることがあります。
また、何かの刺激によって出来事のことを思い出させられたときに、気持ちが動揺したり、冷や汗や動機を伴います。

回避症状

出来事について考えたり話したり感情を起こすのを極力避けようとし、外傷を思い出させる活動・場所や人物を避けようとするようになります。
また、出来事の一部を思い出せなくなることもあります。

麻痺症状

興味や関心が乏しくなり、物事を楽しめなくなる、他人との間に壁ができたような孤立感を感じる、愛情や幸福感などの感情を感じなくなる、将来の人生に対して期待をもてなくなるなどの症状が生じます。

覚醒亢進症状

自律神経覚醒状態となり、不眠、イライラ感、集中困難、過剰な警戒心、ちょっとした物音などの刺激にもひどくビクッとするような過敏反応が生じます。

これらの症状によって、顕著な苦痛感や社会生活や日常生活の機能に支障をきたしていることも診断基準に含まれます。
外傷的出来事が原因として相当する程度のものでなければ、適応障害として診断することもあります。

③ 治療

薬物療法

第一選択薬としてはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が広く使用されています。
SSRIによりPTSDの中核症状である再体験、回避、精神麻痺及び過覚醒のすべてにおいて改善がみられます。
また、患者さんの社会生活機能を改善することでQOLを高め、抑うつなどの併存精神症状に対する有効性も期待されます。
長期に服用することでの再発予防効果も確かめられています。

認知行動療法
曝露療法

回避対象に徐々に接近したり、外傷体験場面の想起陳述を繰り返して馴化を図るようにします。

認知再構成

心的外傷体験によって変化したネガティブな思考を論理的で有益な考え方に修正していきます。

EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法 Eye Movement and Reprocessing)

トラウマ記憶に患者さんの意識を向けたままの状態で、治療者が左右水平方向にリズミカルに指を動かし、それを患者さんに追視してもらい眼球運動を反復する技法のことです。
PTSDの治療法として有効とされています。

④ さいごに

当院は「患者さんの一助となれるようしっかりと丁寧に話を聞き、患者さまやご家族さまの目線に立って解決方法を一緒に考えられる、安心を提供できるクリニックでありたい」との理念を掲げております。
患者さんの心の負担のない範疇でしっかりと話をお聞きし、穏やかに過ごせるようお手伝いすることが出来ます。
どうぞお気軽にご相談ください。

1)modern clinical psychiatry 12th edition
2)psychiatry expert anxiety disorder

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