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ADHD治療薬の分類と特徴

[2023.11.15]

多動や不注意に悩まれる方、またそのご家族は沢山おられると思います。当院では丁寧にお話を聞く中で患者様と一緒に解決方法を考えていきます。お薬以外の治療方法もありますし、十分な説明をした上で患者様が希望された場合にはお薬を処方することもあります。
今回は『ADHD治療薬の分類と特徴』に関してまとめてみました。
分からないことやお聞きになりたいことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
皆さまの健康へのお手伝いが出来るよう、丁寧な診察を心掛けてまいります。

◎ADHD治療薬の分類と特徴

注意欠如・多動症(attention deficit hyperactivity disorder:ADHD)
12歳以前から学校、家庭、職場などの複数の場面で、発達水準に不相応な不注意、多動性・衝動性のいずれか、または両方が認められ、そのために日常生活に支障をきたす神経発達障害です。

ドパミンやノルアドレナリンといったカテコールアミンの神経伝達物質の機能障害が病態に関わっているとされています。

ADHDの治療薬は中枢神経刺激薬(以下、刺激薬)と非中枢神経刺激薬(以下、非刺激薬)の2種類に大きく分けることができます。

刺激薬は、脳内のモノアミントランスポーターに結合することで、ドパミンなどの興奮性の神経伝達物質量を増やします。短時間作用型メチルフェニデート(商品名リタリン)、長時間作用型メチルフェニデート(商品名コンサータ)、リスデキサンフェタミン(商品名ビバンセ)など20種類以上の薬剤が存在します。

非刺激薬は、ノルアドレナリンの再取り込みを阻害したり、α2受容体を刺激したりすることで脳内のノルアドレナリン量を増やして機能の改善をもたらします。アトモキセチン(商品名ストラテラ)やグアンファシン(商品名インチュニブ)などがあります。

諸外国ではさまざまな刺激薬や非刺激薬が使用可能ですが、日本で認可されているのはメチルフェニデート(商品名コンサータ)、リスデキサンフェタミン(商品名ビバンセ)、アトモキセチン(商品名ストラテラ)、グアンファシン(商品名インチュニブ)の4剤のみです。また、リスデキサンフェタミン(商品名ビバンセ)については小児のみの適応となっています。
小児のガイドラインにおいては環境調整や心理教育など非薬物療法にて症状の改善が得られない場合に薬物療法が推奨されていますが、成人にはガイドラインは存在せず、医師の判断に委ねられています。メチルフェニデート(商品名コンサータ)もしくはアトモキセチン(商品名ストラテラ)の単剤から開始し、効果不十分の場合には他剤へ切り替えたり併用することが多いです。衝動性が目立つケースにはグアンファシン(商品名インチュニブ)を第一選択に使用することもあります。

・メチルフェニデート(商品名コンサータ)

前頭前野におけるドパミン及びノルアドレナリンの再取り込みを阻害し、シナプス間隙のカテコールアミン濃度を上昇させることで効果をもたらすと考えられています。日本で使用可能なのは徐放剤であるコンサータで、朝に1日1回服用することで約12時間効果が得られます。1日18mgより開始し、最大用量は72mgです。有害事象としては食思不振、体重減少、動機、悪心、不眠、口渇、頭痛、頻脈などがあります。

・アトモキセチン(商品名ストラテラ)

選択的にノルアドレナリントランスポーターを阻害することでノルアドレナリン及びドパミン濃度を上昇させることで効果をもたらすと考えられています。特に集中力や落ち着きの改善に効果的で、通常1日1回もしくは2回の服用とし、成人における有効量は80〜120mgとされています。有害事象としては胃腸症状、食思不振、不眠、頭痛などです。この薬剤は覚醒作用と眠気のどちらももたらす可能性があり、患者さんによって服薬のタイミングを検討します。また、服用から効果発現までに2週間から4週間を要することも特徴的です。

・グアンファシン(商品名インチュニブ)

元来降圧薬として使用されていましたが、降圧作用は強力なものではなく、α2受容体作動効果により多動や衝動性、不注意といった症状の改善が期待できるため、2017年に保険適応となり、現在は成人にも使用できます。1日1〜2mgで使用することが多く、有害事象としては、口渇、目の乾燥、眠気、眩暈、低血圧、便秘などがあります。

・リスデキサンフェタミン(商品名ビバンセ)

デキサンフェタミンを改良して開発された薬剤で米国では小児成人ともに適応が承認されています。ドパミン、ノルアドレナリンの再取り込み阻害作用とドパミン、ノルアドレナリン放出促進作用があると考えられています。日本では2019年に小児に対して適応が承認されていますが、成人に対する臨床試験は行われていません。

American Psychiatric Association
e-health net Attention-deficit hyperactivity disorder
National Center of Neurology and Psychiatry
The journal of the japan medical association

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